援助マリア修道会 杉原法子
五月を迎え復活節も第六週に入りました。一年で最も美しい五月は聖母マリアに捧げられています。教会は復活の喜びのうちにイエスの母マリアを祝います。
今日はヨハネが伝えるカナの婚宴でのマリアさまを黙想してみましょう。いつの時代でもどこの世界でも結婚式は大きな喜びの出来事です。カナという町は、イエスが30歳まで過ごされたナザレから北へ1~2キロ程行った所にあります。そこで婚礼があり、イエスや弟子たちも招かれていました。母マリアは台所や接客の手伝いをしておられたようです。ところが祝宴が盛り上がってきたところでぶどう酒が足りなくなったというのです。結婚式でぶどう酒が足りなくなるということは、家の主人にとっては大変な失策でした。この場面を救うのはイエスしかない。そう思ったマリアはイエスに助けを求めます。彼らに「ぶどう酒がなくなりました」と。イエスの答えは、「婦人よ。わたしとどんな関わりがあるのです。わたしの時はまだ来ていません」と、不思議なことばでした。それでも母マリアは召し使いたちに、「この人の言う通りにしてください」と命じます。このマリアの全面的な信頼はイエスの心を動かし、最初のしるし(ヨハネは奇跡を「しるし」と表している。)を可能にしたのでした。水がめに水をいっぱい入れるよう言われた召し使いたちは、かめの縁まで水を満たし、それを汲んで宴席へ運びました。水は最高級のぶどう酒に変わっていたのです。汲んでも汲み尽せないぶどう酒が放つ香りが部屋いっぱい漂い、大きな祝福のうちに結婚の宴は幕を閉じました。
皆さんは、家庭や社会の中で「ぶどう酒が欠乏する」といた状況を経験したことはないでしょうか。互いに限界を持った人間同士、愛する力を失うこともしばしばあるでしょう。愛や喜びが底をついてしまうようなときの絶望感を表しているように思いす。そんな時、マリアに倣って「主よ、ぶどう酒がなくなりました」と、一言しかし全幅の信頼をもって言ってみてはどうでしょうか。イエスさまは、わたし達の心に愛という名のぶどう酒を与えてくださいます。とてもシンプルですが力のあるとりなしの祈りです。
カトリック教会には、「とりなしの祈り」という伝統があります。この祈りは、自分のためではなくだれか他者のためにする祈りです。カナの婚礼でぶどう酒が不足したとき聖母がイエスにとりなしをされたように、私たちもイエスにとりなしの祈りをすることができます。また、聖母マリアへのとりなしの祈りも効果的です。その優れた方法のひとつがロザリオの祈りでしょう。聖母月に最もふさわしいロザリオの祈りをお勧めします。
とくに教皇さまの意向に合わせて、病める世界にキリストの平和が訪れますように、聖母にとりなしの祈りをお捧げしましょう。