「その時、イエスは十一人の弟子に現れて、言われた。『全世界に行って、すべての造られた者に福音を宣べ伝えなさい。信じて洗礼を受ける者は救われるが、信じない者は滅びの宣告を受ける。信じる者には次のようなしるしが伴う。彼らは私の名によって悪霊を追い出し、新しい言葉を語る。手で蛇をつかみ飲んでも決して害を受けず、病人に手を置けば治る。』主イエスは、弟子たちに話したのち、天に上げられ、神の右の座に着かれた。一方弟子たちは出かけていって、至る所で宣教した。主は彼らと共に働き、彼らの語る言葉が真実であることを、それに伴うしるしによってはっきりとお示しになった。」(マルコ16:15-20)
6月29日は教会の大黒柱である聖ペトロとパウロの祭日です。イエスを知らないと3度も否んだペトロと、キリスト教徒を激しく迫害したユダヤ人パウロが教会の柱として選ばれたのです。神の選びは不思議で、人間的な尺度では到底理解できません。この神に選ばれた器が、今日の教会の礎石となったのです。
初代教皇となったペトロは、紀元65年頃、ローマに行き、そこの最初の司教になり、それから、ローマ皇帝ネロの迫害で信仰のために殺され、殉教しました。教会の頭としてのペトロの使命は、その後継者に受け継がれて今日に至っています。現代の教皇フランシスコで266代目です。
パウロの回心と異邦人への宣教の過程は使徒言行録9章に書かれています。
現在のトルコの南、地中海沿岸のタルソスの出身、ローマ市民権を持つ知識人でした。当時のユダヤ教の最高の教育を受け、律法を真面目に守っていたパウロは、ユダヤ教の正統信仰をゆがめるキリスト者に対して激しく弾圧していました。ところが、このパウロが復活したイエスと出会って回心し、ユダヤに生まれたキリスト教を世界の宗教にしたのでした。キリスト教が独自の発展をしていく過程で,パウロは大きな役割を果たしました。