辻 めぐみ

 

先日、2月10日から2泊3日で援助マリア修道会のシスターのご案内の下、福島体験ツアーに参加してきました。訪問先は南相馬、昨年避難指示解除された小高地区、また車窓からは帰還困難地域にある浪江町、双葉町、大熊町を見てきました。

南相馬市は3つの区からなり、原発により同じ市内でも帰還困難地区、避難指示解除地区と見えない境界線で分断されてしまいました。震災前には7万人ほどいた人口は今現在5万5千人ほどになっています。放射線の値は今は東京と変わらない値になっていますが、福島全体か汚染されてるようなイメージや過剰なネットへの書き込みなどにより正しい情報が伝わりにくくなってるため風評被害が今も大きな壁になっています。たぶん私たち県外の人たちが正しい情報を知ろうとしないこと、無関心であることが風評をより大きなものにしているのだと思います。

小高地区に帰還された方達にもお話しを伺いました。帰還された大半はお年寄りの方達、放射能の危険も覚悟して故郷に戻ることを選択しました。原発事故の後、転々と移動し慣れない土地でストレスを抱えながら生きるより自分の家に戻ったほうが元気でいられるとのことでした。津波で家も流され、放射能で県外避難を余儀無くされ、その後仮設住宅へ移動、聞いただけでも相当なストレスの中で生活されていたことがわかります。

それでも笑顔でボランティアの人たちに助けていただいたご恩は忘れませんと答えてくださいました。ここに来ると人との温かい交流の場がいかに大切なことが良くわかります。

私もこれまで震災後、東北の復興支援活動をしてきましたが、人の心を癒すものが復興には必ず必要で、大きなチカラになると感じています。

帰還困難地域の浪江町、双葉町、大熊町は同じ日本とは思えない風景が広がっていました。田畑は雑草や木に覆われ、放射能廃棄物の袋があちらこちらに山積みになっています。

人間の都合で自然が破壊され、廃棄処理不能な汚染物質を今もつくりだしていることに大きな憤りを感じました。

2日半という短い時間の中で私が見たものは限られたものですが、原発がいかに人と自然を、人と人との間を引き裂いたかを実感しました。福島の事故から7年が経過、今なお困難な状況にいる人たちが沢山いるこを忘れずに、無関心でない自分でありたいと思います。

この度の訪問を企画してくださった援助マリア修道会シスターの皆様、カリタス南相馬の皆様、CTVCの皆様、そして幸田司教様に心より感謝申し上げます。